知るを深める、深海性WEBメディア

編集長日記

「みらい」最後の航海:Day3|編集長日記

2025.11.15
航海3日目。
今日も7時半きっかりに朝ごはんの集合がかかりますが、昨日から夜通し作業しているというOBSチームの姿は見当たりません。食事の時間をずらしているようです。

宮城県沖の20のポイントに、かしこすぎる計器・OBSを設置するミッション。最後のひとつが投入されたのは午前8時半でした。準備も含めると、ほぼ24時間。

Aフレームで海へと連れ出される最後のOBS。

OBSチームの皆さん、お疲れさまでした。引き上げていく背中に安堵が見える気がしますが、これで終わりではありません。

東大、東北大、神戸大の研究チーム。

海底から地上にデータが送られてくるからOBSは沈めっぱなし、というわけではないようで。観測データは計器の中に蓄積されるので、約1年後に回収にくるんだとか。そのため、ちゃんとデータが取れる状態にあることや実際に到達した海底の詳細な位置を調べる、着底確認をしに向かいます。

ざっくりした船の航路はこんな感じ。細かく方向転換している箇所でOBSの投入と、投入後の確認がおこなわれた模様です。

客船ではありえない動き、これぞ研究船。

3000メートルとか5000メートルの深海にあるものをどうやって確認するかというと、音波を出す機器(トランスポンダー、通称:トラポン)を海面直下に落とし、はるか下にいるOBSと通信するのだと、東大地震研究所の大塚さん。

これがトラポンの発信機。

つまり、多分こういうこと。

船上「おーーーい!」
OBS「おぉぉーーーーーーーい」
船上「大丈夫そ?」
OBS「南北に0.9度と東西に3.8度傾いちゃったけど、許容範囲だよねー?」
船上「20度以内ならジャイロ機構で修正可能だから平気。時間が来たらジャイロと観測開始のプログラム走るから、予定どおり頼むわ」
OBS「オッケー。まかせといて」
船上「詳しい位置も把握できたから、1年後に迎えにくるし。それまでよろしく〜」
(みらい去る)

OBSが深海底から返してきた返事。専門家の解説がないと、さっぱり分からない。

この着底確認が終わったのは13時半過ぎ。ようやくゆっくり眠れると、今度こそ安堵の表情を浮かべながらOBSチームは船内のどこかに消えていきました。

次のミッションは、もうひとつの観測作業、ピストンコアラーです。次の目的地である三陸沖に向けて進み始めた船の上では、もう準備が始まっていました。

長くて丈夫な筒を吊り下げる装備に移行中

ちなみに、深海底にいるOBSをどうやって回収するのか。そこにも「へー!!」って膝を打ちたくなる仕掛けがあるのですが、また別の機会に。

ご支援ください
書き手の愛と情熱に

フカメディアを一緒に育ててください

このサイトはreCAPTCHAによって保護されており、Googleのプライバシーポリシー利用規約が適用されます。
  • 記事を書いたライター
  • ライターの新着記事
脈 脈子

脈 脈子

編集長

大阪生まれ、兵庫暮らし。 15年前から脈 脈子と名乗っているが、ミャクミャク様に持っていかれた感のある残念なひと。イカ贔屓。

  1. 「みらい」最後の航海:Day7|編集長日記

  2. 「みらい」最後の航海:Day6|編集長日記

  3. 「みらい」最後の航海:Day5|編集長日記

コメント

この記事へのコメントはありません。

エサください
RECOMMEND
RANKING
DAILY
WEEKLY
MONTHLY
  1. 1
  2. 2
  3. 3
  4. 4
  5. 5
  1. 1
  2. 2
  3. 3
  4. 4
  5. 5
  1. 1
  2. 2
  3. 3
  4. 4
  5. 5
  1. #タレコミ
  2. asaha
  3. átoa
  4. DMMかりゆし水族館
  5. JAMSTEC
  6. OIST
  7. ROV
  8. うんまか深海魚
  9. おでかけ子ザメ
  10. かごしま深海魚研究会
  11. しまね海洋館アクアス
  12. しんかい6500
  13. たくさんのふしぎ
  14. よこすか
  15. アオリイカ
  16. アカエイ
  17. アカグツ
  18. アカシュモクザメ
  19. アクアリウム
  20. アクアワールド茨城県大洗水族館
  21. アメリカオオアカイカ
  22. アンフィオニデス
  23. イカ
  24. イチゴイカ
  25. イルカ
  26. エイ
  27. オオグソクムシ
  28. オオサンショウウオ
  29. オルカ
  30. カミナリイカ
  31. カリフォルニアシラタマイカ
  32. ガラパゴス諸島
  33. クラゲダコ
  34. グミ
  35. ゲンゲ
  36. ゲーム
  37. コブシメ
  38. コミナトダイオウグソクムシ
  39. コラーゲンヤーン
  40. ゴマフイカ
  41. サナダミズヒキガニ
  42. サメ
  43. サメ映画
  44. サラス・イ・ゴメス海嶺
  45. サンシャイン水族館
  46. シャチ
  47. シュモクザメ
  48. シラタマイカ
  49. シリヤケイカ
  50. シーラカンス
  51. ジンベエザメ
  52. スルメイカ
  53. センジュエビ
  54. センハダカ
  55. タカアシガニ
  56. タコ
  57. タッチうおっち水族館
  58. タテジマミミイカダマシ
  59. タレコミ
  60. ダイオウイカ
  61. ダイオウグソクムシ
  62. ダンゴイカ
  63. チムニー
  64. チョウチンアンコウ
  65. チリ
  66. テングノタチ
  67. トゲズワイガニ
  68. トリノアシヤドリエビ
  69. ドギ
  70. ナンヨウマンタ
  71. ニュージーランド
  72. ノコギリザメ
  73. ハナイカ
  74. バウンティ・トラフ
  75. バンダコウイカ
  76. ヒメイカ
  77. ヒラアシクモガニ
  78. ヒレタカフジクジラ
  79. ビクニン
  80. フカメブックス
  81. ブリ
  82. ホウライエソ
  83. ホタルイカ
  84. ホホジロザメ
  85. マグメル深海水族館
  86. マサモリチョウチンアンコウ
  87. マダコ
  88. マツカサウオ
  89. ミツクリザメ
  90. ミドリフサアンコウ
  91. ミミイカ
  92. ムネエソ
  93. メンダコ
  94. ヨシキリザメ
  95. リュウグウノツカイ
  96. 上越市立水族博物館うみがたり
  97. 京都府
  98. 京都水族館
  99. 仙台うみの杜水族館館
  100. 兵庫県
  101. 千葉県立中央博物館
  102. 古代魚
  103. 名古屋市科学館
  104. 四国水族館
  105. 国立科学博物館
  106. 城崎マリンワールド
  107. 大分県
  108. 大阪府
  109. 宮城県
  110. 宮崎県
  111. 宮崎県総合博物館
  112. 山口県
  113. 島根大学
  114. 島根県
  115. 島根県立しまね海洋館アクアス
  116. 市立しものせき水族館「海響館」
  117. 平坂寛
  118. 幼体
  119. 幼生
  120. 幼魚
  121. 幼魚水族館
  122. 愛知県
  123. 新江ノ島水族館
  124. 新潟県
  125. 東京都
  126. 横浜・八景島シーパラダイス
  127. 水族館
  128. 沖縄県
  129. 沖縄美ら海水族館
  130. 沼津港深海水族館
  131. 海と日本プロジェクト
  132. 海展
  133. 海洋生物
  134. 深海
  135. 深海冷凍装置
  136. 深海探査システム委員会
  137. 深海熱水
  138. 深海生物
  139. 深海魚
  140. 無人潜水艇
  141. 石川県
  142. 神奈川県
  143. 神戸須磨シーワールド
  144. 稚魚
  145. 能登半島
  146. 茨城県
  147. 萩博物館
  148. 長崎県
  149. 阪神百貨店
  150. 静岡県
  151. 飼育
  152. 駿河湾
  153. 高知県
  154. 鴨川シーワールド
  155. 鹿児島県
  156. 黒潮

こんな記事も読まれています

海面へ浮上