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編集長日記

「みらい」玉取り物語 — episode.1 —|2025.12.16 編集長日記

昼寝をしそびれてしまった。

小さなメディアであるフカメディアが企てた、大それた「みらい」ドローン空撮計画。サッカーボールのある外観を撮れるのは最初で最後であり、やり直しがきかない。日の出から、「みらい」が防波堤を通り過ぎるまでのおよそ2時間半の短期決戦。そのために前泊するのはもったいない気がしたので、深夜の運転移動に備えて17時ごろ睡眠体勢に入った。

ところがちっとも眠れず、右を向き、左を向き、また右を向いて、時間だけが過ぎていく。「みらい」に乗っている時は毎日と言っていいほど、夕飯前に抗い難い眠気に襲われていた。横になって目を閉じればすぐに眠ることができたのに、昼寝ってこんなに難しいものだっけ。鋼鉄製のゆりかごに、すっかり慣らされてしまったのかもしれない。ならばいっそ、予定より早く出て道すがらで休もうと22時半過ぎに出発した。

出港まで10時間30分。

不思議な縁を感じる船を最後の最後まで追いかけると心に決めた、「みらい」ストーキング旅の記録。


フカブカぬいはドリンクホルダーにシンデレラフィットする。

ガソリンを満タンにしてから高速道路を走りはじめる。真っ暗なこの世界を、真正面から夜中だと認識すると途端に眠くなるので、これは夜明け前なのだと脳をだますことにした。

「冬の朝はまだまだ暗いなぁ」とひとりごち、こんな朝早くから活動してる人が意外と多いのだなと行き場のない関心を寄せる。この時間の新名神はトラックがひしめきあっているか、ガラガラかのどちらかだろうと思っていたらそのどちらでもなく、トラックも乗用車もそれなりに走っている。そうか、週末。

走りはじめて1時間半。そういえば昼の12時にパンを食べたきりでお腹が空いている。何か食べようと土山サービスエリアに寄ったら、信楽に古くから伝わるであろう祭祀が執り行われていた。

玉2段以外に雪だるまの要素が残されていない、清々しいまでのたぬき推し。

同じ関西でも、滋賀はなんかちょっと突き抜けてるなと思うところがある。

元気が有り余り深夜移動などもろともしない若者グループと、たぬきの存在感で賑やかな中で20分ほど仮眠を試みるが、ものすごい信楽魂を見せられた興奮からか眠れない。早々にあきらめ走り出すと、すぐに眠くなってくる。やっぱり鋼鉄の乗り物に揺られてないとダメなのか。20kmも離れていない次の鈴鹿サービスエリアに吸い込まれてしまった。

土山は滋賀県で、鈴鹿は三重県である。20kmのあいだに超えた県境が、きっぱりと商圏を分けていた。

ラインナップのドアラ率、8割超え。

はっきりと東海圏になった。大阪が誇る551蓬莱も滋賀より東には店舗を出していないし、土山と鈴鹿の間が分水嶺だったのだ。目に見えない概念が、こうして可視化されているのは楽しい。

気分がいいついでに30分ほど眠る。午前2時半。全然進まない。さすがにそろそろ静岡に入っておきたい。ここから浜松のサービスエリアまでひた走り、ようやく静岡県の看板を見た。とは言っても、新幹線でも高速でも、延々と終わらない感覚に襲われる静岡の、西端に辿り着いたに過ぎない。

清水はまだ遠い。旅の道のりと同じくらい、この日記も進まない。
浜松でも少し休み、再び走り出したのは午前4時過ぎだった。

出港まで5時間。

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脈 脈子

脈 脈子

編集長

大阪生まれ、兵庫暮らし。 15年前から脈 脈子と名乗っているが、ミャクミャク様に持っていかれた感のある残念なひと。イカ贔屓。

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