2025.11.18
「昨日はだいぶ揺れましたね」
朝ごはんの席での話題は、もっぱらそれ。一時は波の高さが9メートルあったと航海士のMさんが言います。9メートルって…建造物やん。3階建てのビルの高さから波がぶつかってくる。しかも大海原のど真ん中、陸も見えない暗闇の中で。想像するだにゾッとします。
食堂の椅子も、いつの間にか鎖で床と繋がれていました。午後には少し落ち着くだろうとの見立てですが、午前中はまだまだ揺れる。屋外につながる扉はすべてロックされ、窓もカーテンや蓋がしっかり閉じられて、おこもり態勢の「みらい」。この日の朝から予定されていた、2回目のピストンコアラーは中止となりました。
中止になったからヒマかというと、そんなことはなく。研究チームは、昨日6500メートルの海底から戻ってきたサンプルの解析をはじめるとのこと。台湾から来ている学生さんたちを引き連れて、船内にあるラボに吸い込まれていきました。

揺れる船内では、研究用の試薬もこういう目にあう。
お昼ごはんを挟んで、午後もずっとラボで作業をしていたようです。

みっちり詰まった海底6500メートルの泥。
一方のフカメディアは、研究活動の見学もしつつ、船内のさまざまな場所への潜入を試みています。午後には機関長の計らいで、「みらい」の心臓部である機関室を見せてもらうことができました。
この大きな船を動かしているエンジンにモーター、油圧装置。油の強い匂いと大きな音。機関部のクルーは耳栓をして、日々ここで仕事をしているそう。船は人の力で動いているのだと肌で感じます。
詰め所では、今日の仕事はぼぼ終わったというクルーの皆さんが待ってくださっていたので、ご厚意に甘えて根掘り葉掘り。聞くと、住んでいる場所も船に乗るきっかけも人それぞれ。ですが、共通して気のいい人たちばかりで、機関長が「いい仲間たちですよ」とニコニコするのも分かります。
ある人は旅行が好きで、航海と航海の間にいろんな所へ行くのだそう。直近の休暇でウズベキスタンに行ったとのことで、お土産のクッキーでもてなしを受けてしまう美味しい潜入活動でした。

これ、めちゃんこ美味しいよ!
そこに人がいることで、仕事は豊かなものになるのだと、そんな気がしています。



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