2025.11.14
「みらい」の中からこんにちは、脈です。
寝て起きたら、房総半島沖から福島県沖あたりにワープしていました。船は24時間、止まることなく進み続けています。

11月14日 AM8:30。ここは福島県沖ったら福島県沖なんです。
この航海では大きくふたつの観測作業が予定されています。ひとつは筒を使って海底の泥を採取するピストンコアラー。ピストンコアラーと文字で見るたび、まぶたの裏では耳の大きな動物がむっしゃむっしゃとユーカリを喰んでいます。
もうひとつは東日本大震災の震源域でこれから起きる地震のデータを1年ほど録り続けるかしこい玉、OBS:Ocean Bottom Seismograph(海底地震計)を計20箇所に沈めること。
ピストンコアラーチームが最終的に目指すのは根室沖。先にOBSの設置ポイントである宮城県沖に向かっているとのことで、当初の予定から2時間ほど早まった13時の到着に備えて、朝からOBSたちのウォームアップが始まりました。


左:オレンジの玉は東大地震研と神戸大のOBS。右:黄色い方がJAMSTECで、手前に見切れるオレンジのは東北大のもの。
このツルっとした玉や壺は耐圧容器。中に入っている計器類が深海の水圧から守られます。おもりがついた状態で船からドブンと投入した後は、自重で数時間かけてゆっくりと数千メートル下の海底へと下降。海底についたらあとは1年後に迎えにくるまでデータを録り続けるのだそうです。かしこい。
水平・垂直方向で地震のP波とS波を記録するため、OBS自体が水平になっている必要があるのだけれど、海底はだいたい傾斜していると東北大学の東さん。じゃあ、ダメじゃん。と思うけど、自力で水平をとるジャイロ機構が仕込まれているらしい。かしこすぎる。身体の水平・垂直状態がよく分からず、免許センターの写真係の人や整体院の先生などにいつも直されてしまうわたしより遥かにかしこい。さすが、スーパーかしこい人たちが設計した計器です。

兵庫県在住のわたし、ここで出会った“神戸”の文字に親近感が湧く。
かしこすぎる計器・OBSの投入作業は予定どおり13時に開始。投入といっても、抱え上げてドブンドブンと力技で投げ入れるわけではなく、JAMSTEC船の象徴でもある青いやつ、Aフレームと呼ばれるクレーンで1台づつ吊り上げ、ピンポイントで投入されます。

最初に海に放たれたのはJAMSTECのOBS。
投入後のデータチェックなどもあり、だいたい1時間ごとに1台のペース。20台すべてを投入するには翌日までかかるため、OBSチームは交代で夜通し作業するのだそう。

真っ暗になっても投入作業は続く……。
ところで、OBSチームが忙しく働く甲板にお客さまがありました。

おじゃましまんにゃわ〜
魚を満載した漁船だと思って近くを旋回する鳥は多いそうですが、こうして甲板に降りてくるのは珍しいんだとか。飛び疲れたのか、珍しい生き物がいっぱいいるなと思ったのか。まだ幼い感じもあり、しばしほっこり。


毛づくろい、アクロバティックすぎん?
いいイナバウアーが見れました。
航海はまだまだ続きます。



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