知るを深める、深海性WEBメディア

編集長日記

浅い海の上で聴く、深い海の話|2025.7.31 編集長日記

こんにちは、脈です。

関西の海、とみに太平洋側は浅い。
これは味わいが薄いとか個性がないというような意味の比喩でもなんでもなく、物理的に浅いのです。

ほとんどの府県が接している大阪湾の平均水深は20〜30メートルほど。いちばん深いところでもせいぜい40メートルほどで、埋め立てが盛んにおこなわれているため、海らしさというのはあまり感じられない海です。可燃性の高いメタンガスが発生してると話題の中心でもありますね。

兵庫の西側が接している瀬戸内海の播磨灘は、穏やかで風光明媚で、ぼんやり眺めるのにちょうどいい。けれど深さの面では、大阪湾よりは深いと言っても最深部で60メートルほど。

おもに和歌山が面している紀伊水道はちょっと深くて、沖に出れば200メートル以上の深さがあるというけれど、沿岸からストーン!といきなり1000メートル級まで深くなる富山湾や、日本で最も深くて地球深部探査船「ちきゅう」の母港である清水港を擁する駿河湾に比べると、とてもささやか。

こういう事情から、関西の、特に太平洋側には深海の話題はほとんど起こりません。

なぜこんな話をするのか。深海という点において関西がいかに不毛な土地であるかをアピールしたいからではありません。そういう事情があるからこそ、めずらしく深海界隈の方から関西にやってきてくれることが、いかに貴重でありがたいことか伝えられるだろうかと思ったのです。

さて、長い前置きを経て、ここからが本題です。
深海の話題に乏しい関西の、それも大阪湾に浮かぶ人工島に、深海研究のトップランナーたちがやって来ます。

出典:https://www.qst.go.jp/site/entangle-moment/stage.html#18-2

現役研究者として「しんかい6500」への最多搭乗を誇るミスター深海こと高井さんと対峙するのは、特撮を得意とする樋口真嗣監督。いちばん最近では『シン・ゴジラ』がよく知られています。わたしが敬愛する『タローマン』の生みの親・藤井亮監督とも対談されていました。いったいどんな話になるのか、まったく想像がつきませんが、思いもしない方向へぶっ飛んでいくんだろうと思うと、楽しみでしかありません。

同じ日の16時から、もうひとつ。

出典:https://www.qst.go.jp/site/entangle-moment/stage.html#18-3

こちらは深海研究の現場に則したお話が聞けそうです。「しんかい6500」のパイロットであり、フカメディアも密かに超応援している飯島さつきさんが大阪に来てくれるなんて。

さらに18時から、研究者×アーティストのトークセッションがあるようですが、まだ中身が発表されていません。どなたが来られるのでしょう。

いずれも場所は、大阪・関西万博会場内の「WASSE」なるイベントスペース。西ゲートを入ってすぐのところにある、ここです。8月18日ですよ。

出典:https://www.expo2025.or.jp/expo-map-index/main-facilities/expomesse/

万博会場内なので、もちろん万博の入場チケットは別途必要ですが、イベント自体には当日配布される入場整理券をもらう権利を事前予約してから指定された時間に現地に行くと、無料で参加できるしくみのようです。

浅い海の上で聴く、深い海の話。趣きが深い。皆さんいいですか?8月18日は万博集合ね。フカブカもきっといます。深々と下げる頭をなでると、ご利益はきっとありませんが、かわいいです。夢洲で会いましょう。

ご支援ください
書き手の愛と情熱に

フカメディアを一緒に育ててください

このサイトはreCAPTCHAによって保護されており、Googleのプライバシーポリシー利用規約が適用されます。
  • 記事を書いたライター
  • ライターの新着記事
脈 脈子

脈 脈子

編集長

大阪生まれ、兵庫暮らし。 15年前から脈 脈子と名乗っているが、ミャクミャク様に持っていかれた感のある残念なひと。イカ贔屓。

  1. 浅い海の上で聴く、深い海の話|2025.7.31 編集長日記

  2. 連載エッセイの終了について|2025.7.28 編集長日記

  3. おいしいぞ!青森|2025.7.21 編集長日記

コメント

この記事へのコメントはありません。

エサください
RECOMMEND
RANKING
DAILY
WEEKLY
MONTHLY
  1. 1
  2. 2
  3. 3
  4. 4
  5. 5
  1. 1
  2. 2
  3. 3
  4. 4
  5. 5
  1. 1
  2. 2
  3. 3
  4. 4
  5. 5
  1. #タレコミ
  2. asaha
  3. átoa
  4. DMMかりゆし水族館
  5. JAMSTEC
  6. OIST
  7. ROV
  8. うんまか深海魚
  9. おでかけ子ザメ
  10. かごしま深海魚研究会
  11. しまね海洋館アクアス
  12. しんかい6500
  13. たくさんのふしぎ
  14. よこすか
  15. アオリイカ
  16. アカエイ
  17. アカグツ
  18. アカシュモクザメ
  19. アクアリウム
  20. アクアワールド茨城県大洗水族館
  21. アメリカオオアカイカ
  22. アンフィオニデス
  23. イカ
  24. イチゴイカ
  25. イルカ
  26. エイ
  27. オオグソクムシ
  28. オオサンショウウオ
  29. オルカ
  30. カミナリイカ
  31. カリフォルニアシラタマイカ
  32. ガラパゴス諸島
  33. クラゲダコ
  34. グミ
  35. ゲンゲ
  36. ゲーム
  37. コブシメ
  38. コミナトダイオウグソクムシ
  39. コラーゲンヤーン
  40. ゴマフイカ
  41. サナダミズヒキガニ
  42. サメ
  43. サメ映画
  44. サラス・イ・ゴメス海嶺
  45. サンシャイン水族館
  46. シャチ
  47. シュモクザメ
  48. シラタマイカ
  49. シリヤケイカ
  50. シーラカンス
  51. ジンベエザメ
  52. スルメイカ
  53. センジュエビ
  54. センハダカ
  55. タカアシガニ
  56. タコ
  57. タッチうおっち水族館
  58. タテジマミミイカダマシ
  59. タレコミ
  60. ダイオウイカ
  61. ダイオウグソクムシ
  62. ダンゴイカ
  63. チムニー
  64. チョウチンアンコウ
  65. チリ
  66. テングノタチ
  67. トゲズワイガニ
  68. トリノアシヤドリエビ
  69. ドギ
  70. ナンヨウマンタ
  71. ニュージーランド
  72. ノコギリザメ
  73. ハナイカ
  74. バウンティ・トラフ
  75. バンダコウイカ
  76. ヒメイカ
  77. ヒラアシクモガニ
  78. ヒレタカフジクジラ
  79. ビクニン
  80. フカメブックス
  81. ブリ
  82. ホウライエソ
  83. ホタルイカ
  84. ホホジロザメ
  85. マグメル深海水族館
  86. マサモリチョウチンアンコウ
  87. マダコ
  88. マツカサウオ
  89. ミツクリザメ
  90. ミドリフサアンコウ
  91. ミミイカ
  92. ムネエソ
  93. メンダコ
  94. ヨシキリザメ
  95. リュウグウノツカイ
  96. 上越市立水族博物館うみがたり
  97. 京都府
  98. 京都水族館
  99. 仙台うみの杜水族館館
  100. 兵庫県
  101. 千葉県立中央博物館
  102. 古代魚
  103. 名古屋市科学館
  104. 四国水族館
  105. 国立科学博物館
  106. 城崎マリンワールド
  107. 大分県
  108. 大阪府
  109. 宮城県
  110. 宮崎県
  111. 宮崎県総合博物館
  112. 山口県
  113. 島根大学
  114. 島根県
  115. 島根県立しまね海洋館アクアス
  116. 市立しものせき水族館「海響館」
  117. 平坂寛
  118. 幼体
  119. 幼生
  120. 幼魚
  121. 幼魚水族館
  122. 愛知県
  123. 新江ノ島水族館
  124. 新潟県
  125. 東京都
  126. 横浜・八景島シーパラダイス
  127. 水族館
  128. 沖縄県
  129. 沖縄美ら海水族館
  130. 沼津港深海水族館
  131. 海と日本プロジェクト
  132. 海展
  133. 海洋生物
  134. 深海
  135. 深海冷凍装置
  136. 深海探査システム委員会
  137. 深海熱水
  138. 深海生物
  139. 深海魚
  140. 無人潜水艇
  141. 石川県
  142. 神奈川県
  143. 神戸須磨シーワールド
  144. 稚魚
  145. 能登半島
  146. 茨城県
  147. 萩博物館
  148. 長崎県
  149. 阪神百貨店
  150. 静岡県
  151. 飼育
  152. 駿河湾
  153. 高知県
  154. 鴨川シーワールド
  155. 鹿児島県
  156. 黒潮

こんな記事も読まれています

海面へ浮上